泊めてあげられるか。

1月3日の日記です。
中前結花 2026.01.04
誰でも

早朝、大急ぎで日記を書いて、大した確認もできずに配信してしまった。読み返すと案の定、誤植まみれ。そんなものをたくさんの方にお届けしてしまって、なんとも反省した三賀日最終日だった。


情けない言い訳をしてしまうと、大事な出発の時間が迫っていたために、どうしてもどうしても確認の時間が取れなかったのだ。本当に不甲斐ないけれど、こればかりは仕方がない。
1月3日は毎年必ず「ディズニーランド」か「ディズニーシー」に行くと決めていて、それはわたしにとって、すごくすごく大切な行事だった。
お正月の過ごし方で、「今年がどんな1年になるか」が決まるなんてことも言われているものだから、なるべく明るく華やかに過ごしたいと思っている。それに、そういった通説とは関わりなくとも、幼い頃から父と母に「お正月は特別」とずっと教わって育ってきた。
お正月は特別。お正月は普段より、うんとうんと嬉しい日を過ごしていい。だから夢の国を訪れるというのも、わたしにはなんとも自然なことで、それがたのしい1年の始まりの合図でもあった。
けれども約束の出発時間になっても、わたしはパジャマを着て日記を書いていた。すでにコートに身を包んだ夫がソファに佇んでいる。そんなわけであまりにも焦ってしまったのだった。
「お気楽に」と言いつつも、今後、もっと短い時間でしっかり書けるよう訓練しなければいけないなあ。

今年は「ディズニーランド」のほうに出向いた。
パークはお正月ムードでいっぱいで、新年を祝う飾り付けが華やかだ。今回のわたしのいちばんのお目当ては、「イッツ・ア・スモールワールド」。これは、世界中の子どもたちが海も国境を越えて心をひとつに歌い踊る……というコンセプトのもと、船で進みながら「世界各国の衣装を纏って踊る人形たちを眺める」というアトラクションなのだけれど、なんとその人形の数は全部で300体を超えるという。非常にスケールの大きい(建物も大きい)アトラクションなのだ。

それが現在は、期間限定でわたしの大好きな映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』とコラボレーションをしていて、その300体以上の人形の中に、なんと映画のキャラクター(主にグルート)が紛れ込んでいるらしい。これはなんとしてもぜひ見たい。
そんなわけで、いちばん最初にそのアトラクションをたのしんで、いちばん最後にも、もう1度このアトラクションに乗る、という過ごし方をして、1日が終わった。
MARVEL作品好きのみなさん、とてもおすすめです。

ただ、「グルートがいた場所にも、もともとは別の人形が設置されていたわけだよね。その人形は今どうしているんだろう」と夫と話し合ったときには、なんとも切ない気持ちになった。期間中、できるだけ、あたたかくてさみしくないところで保管されてるといいなあ。

そして、もうひとつ。「美女と野獣」のアトラクションに乗っているときのこと。
「夜中にお城を訪ねてきた、みすぼらしい老女を泊めてあげなかったから……という理由で、王子様は野獣の姿にされてしまいました」という説明があったのだけれど(映画のその序盤のシーンの詳細がどうしても思い出せない)、夫と「夜中に知らない老女が訪ねてきたら、泊めてあげる?」という話になった。
「うちの家に訪ねてこられたら泊めてあげるのは厳しいけれど、自分がお城に住んでいるなら、部屋数もかなり多いわけだし泊めてあげてもいいかもしれない」
と夫は言った。やさしい人だなと思った。
「でも知らない老女だよ? どんな人かわからないし、後々、なにかのトラブルにつながるかもしれないから、少し慎重になるかも」
というのがわたしの意見だ。
「慎重になる、ってたとえば?」
夫がたずねる。
「うーん、まあ保険証とかマイナンバーカードとか見せてもらえるといちばん助かるけれどなあ」
そう言うと、
「保険証は去年の暮れに撤廃されてるけど有効なの?」
なんて言う。
「じゃあ、やっぱり免許証かマイナンバーカードかなあ」
と言うと、
「結構、マイナンバーカードに重きを置いてるね」
と言われた。たしかに。開始時は、「なんなんだこの制度は」と思っていたくせに、気づけば、めちゃくちゃ老女のマイナンバーカードを見たがっていた。どの項目をどんなふうに見ればいいかもよくわかっていないのに。

なんだか、いろんなことを深く考えさせられたり、新しい自分を知る1日だった。
そして夢の国ではあるけれども、建物の内装(特に壁や天井)のひとつひとつや、BGMのスピーカーの配置を少し気にして過ごしてみるだけでも、多くの工夫に感じ入ることができたり、空間を一層たのしめる。やっぱりディズニーランドは何度行っても、嬉しい場所なのだった。極寒の中でも充分に満喫することができた。

あまりにも寒かったので、帰りに「深夜まで空いている、おいしい肉まん屋さん」で肉まんを買って帰ることにした。たのしいお正月になったから夫に「ありがとう」と言いながら、肉まんを頬張る。なんだかすごくすごく良い1年になりそうな気がした。

※これはエッセイではなく、あくまで紙に書いているつもりの「日記」です。

無料で「中前結花「スプーンひとさじだけよ」」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら