恋愛を求めているわけではありません。

1月15日の日記です。
中前結花 2026.01.16
誰でも

いつもより、ずいぶんと早く目が覚めた。
仕方がないので、ベッドから出て机に向かう。夫はまだシャワーを浴びているようだった。

先週の日記にも書いたけれども、「2026年は木曜日に予定を入れないこととする」と昨年末から決めていた。なるべく普段の仕事から離れて、日々のことを整えたり、未来で役立たせたい勉強や少しは休息の時間に充てられればと考えていたのだ。けれども、どうやらスケジュール表を眺めていると、そんな場合ではなさそうである。まいった、まいった。

ひとまず日記を配信して、洗濯物を取り込む。曇りだと聞いていたのに燦々と気持ちがいい。けれども急ぎのメールの返信をしていたら、昨日思ったとおり、ほんのちょっとクヨクヨとした気持ちが訪れてしまった。よかった。やっぱり出かけるのなら今日が正解だったのだ。
ひとつだけ原稿仕事を済ませて、出かける準備をした。

遠出をしようと目論んでいたけれど、電車で1本のカフェに出かける。以前に友とたずねて、すごく心地のいい時間を過ごせたお店があったものだから、そこを目指す。日が照っていて、コートを着ていれば暑くも寒くもなくてちょうどいい。
窓がよく見える席が空いていたからそこに腰を掛けて、ルーロー飯をおいしくいただいた。そして、食後のコーヒーを飲みながら、ずっと「気が重いなあ」と思っていた原稿に取り掛かる。きっと家にいたなら、ぐずぐずと手をつけられなかったろう。

以前に書いて、自分では「あまり上手くいかなかったなあ」という原稿だった。けれども、尊敬する人に「これいいよ」「すごくいいよ」と褒められて、自分と自分の信頼関係が少し微妙なものになってしまっていた。「わたしには気づけていない魅力があるのだろうか」とどんどん深いところに潜ってしまうような。やっぱりそういった原稿の手直しは難しい。「誰か」だけじゃなくて、「自分も」、そして読んでくれる「たくさんの人にも」良いと思ってもらえるものを書きたい。書かないといけない。
その点、「家で作る料理」はいいなあと思う。夫はずいぶん正直者で、おいしければ「おいしい!」「脂身が多くておいしい!」「ゴマが入っていておいしい!」と言ってくれる。おいしくなければ「胡椒が多いかもしれない」「ソースの量が少ないね」と言ってくれる。手直しがしやすいし、この人ひとりを満足させられればそれでいいから、とても単純でいい仕事だなあと思う。

コーヒーを何杯をいただきながら、そんな「手直しにしにくい原稿」となんとか格闘を続けた。悩んで、悩んで、悩みながら。気づけばすっかり日が暮れてしまって、外は灰色を通り越して、もう深いネイビーだ。帰ってまた書きかけの原稿に取り掛からなければいけない。

今月は、後半に少し長い外出の予定があるものだから、あまり仕事以外の「人と会う」予定を入れていなかったのだけれど、そろそろ誰かと会いたい。友と話がしたくなってきてしまった。
「そういえば」と、カフェでは後ろの背に座っていた女性ふたりが「既婚者限定マッチングアプリ」の話をしていたことを思い出す。
「“恋愛を求めているわけではありません”ってプロフィールに書くこともできるの。でもさ、そしたら会うときに『旦那さんに許可を取って、来てくださいね』ってその男の人に言われちゃってさ」
「嫌だぁ〜、そんな許可取れるわけないじゃん〜」
「でしょ〜。意味ないじゃんー」

なんて話をしていた。世は新しい時代に突入している。けれども、たしかに「友でもない人」「お仕事相手ではない人」と会ってみたいなという気持ちはわかる。わたしにもある。「既婚者限定マッチングアプリ」はさておき、知らない人……正確には「似たような職業の、知らない人とつながることができるような、気軽なマッチングアプリ」があればやってみたいなと、常々思っていた。男性でも女性でもいいけれど、それぞれの悩みや、これからの展望なんかを話してみたい。新しい価値観にも触れてみたい。
こんなことはしたことがないけれど、友に、「友だちを紹介してくれない?」と頼んでみるのもいいかもしれないなと思った。不思議なものだ。世は新しい時代に突入しているのに、わたしは「テレフォンショッキング」をやろうとしていた。

※これはエッセイではなく、あくまで紙に書いているつもりの「日記」です。

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