10年前のクルミ。

1月11日の日記です。
中前結花 2026.01.12
誰でも

日曜日。毎週休日は8時半頃に起きる。ゆったり起きて、陽を浴びながら過ごす週末の午前中が大好きだ。

「休日」と言いつつも、日記を配信して、2つのエッセイに取り掛かる。平日よりうんと健やかな気持ちで取り組めるのが、なんとも不思議だ。家の中に人の気配があると、心が落ち着くのかもしれない。キリのいいところで、出かける準備をする。

所用で、まずは麻布十番へ。
ここへ来ると、六本木の職場で働いていたときのことを思い出す。あの頃は、会食の手土産を麻布十番まで買ってくるよう「おつかい」をよく命じられていた。「豆源」に「麻布かりんと」……。それからクルミがたっぷり入ったケーキも何度も買いに行かされた。あんまり美味しそうなものだから、1度自分でも買ってみたことを憶えている。ごつごつとしたクルミの食感が良く、お芋の味までして、なんとも忘れがたい味だった。久々に食べてみたいなあ、とお店を探すけれど見当たらない。なぜだろう、珍しいことにお店の名前もどうしてもどうしても思い出せない。会食の多い夫も知らないという。仕方なく、ずいぶん昔の写真を掘り起こして画像検索をすると、高橋英樹さんのブログに辿り着いた。けれども名前が書かれていない。「紅茶と合う」という情報しか得られなかった。英樹! 名残惜しくも、時間がないので移動することにした。渋谷へ向かうバスの中で検索していたら、「夢のまた夢」というお店だったということがわかる。けれども、あいにく2019年に閉店してしまっていたのだそうだ。もうあの味と出逢うことはできない。夢のまた夢だ。

そして渋谷で夫の新しい名刺入れを探したり、「ムルギー」でカレーを食べたり、「HIGHTIDE」で文具を買ったりして、ずいぶんと街をうろうろとした。その後、ようやく映画館へ向かう。

ずっと見たかった『ワン・バトル・アフター・アナザー』を観た。2時間42分と少し長尺であるものの、まったく飽きずに最後までハラハラしながら観ることができた。「冴えないおじさん」を演じるディカプリオ(主人公)のシーンがコミカルで、何度もうふふと笑ってしまう、コメディ要素もたっぷりの闘争劇だった。
満足して「どのシーンがいちばん好きだったか」を話しながら24時前の街を歩いて帰る。外の空気は「これでもか!」というぐらい冷え込んでいたけれど、なんともホクホクとした心持ちだった。

※これはエッセイではなく、あくまで紙に書いているつもりの「日記」です。

無料で「中前結花「スプーンひとさじだけよ」」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら