木曜日はちょっと特別。

1月8日の日記です。
中前結花 2026.01.09
誰でも

早いもので、もう木曜日。

去年末、フリーランスの先輩から、「1週間のうち1日は、イレギュラーな事態に備えたり、未来への投資のために、『仕事のタスクを入れない日』を作るのもいいよ」というアドバイスをもらった。おいしいお蕎麦をずるずるとすすりながら。「なるほどなあ、それはいい」と考えたわたしは、2026年はなるべく「木曜日には予定を入れない」と決めてスケジュールを組むことに。だから、「いいことを聞いたなあ。木曜日がたのしみなだあ」なんて先週までは考えていたのだった。今後のために、新しく勉強したいこともたくさんある。
けれども今週は、「仕事初めに上手く起動することができなかった」という、まさにイレギュラー過ぎる前半戦だったために、結局普段と変わらない1日になってしまった。今日も仕事でいっぱいだ。
なんとも切ない、2026年初の木曜日である。

日記配信をしたあと、「15分だけ」と決めて読書をしたのだけれど、「作家は売れなくても、売れても、めちゃくちゃ大変だ」「とにかくめちゃくちゃ大変だ」という、なんとも恐ろしい内容の本を読んでしまった。なんてことだ。朝から雨雲が垂れ込むように、胸の内が灰色になる。1日のはじめにいったい何をしているんだ。そしてこの先、わたしはどうなっていくんだ。悲しみは雪のように。不安は山のように。
やっぱりなんとも切ない、2026年初の木曜日である。

どんよりとした気分を解消しようと、窓を開け放って仕事を始めることにした。日がたっぷりと差し込んでくる窓際は、真冬でもあたたかい。未完成な原稿の書き直しをしているうちに、少し気持ちも晴れやかになってきた。やっぱり空気を入れ換えること、そして日光は大切なのだ。

いくつかの作業に集中したから、途中で散歩に出かける。
歩きながら、ラジオ番組『爆笑問題カーボーイ』を聴いていたら、太田さんがお正月のネタのことでまた反省をしていた。「お見苦しい漫才を見せてしまった」と。三が日、どの日もネタが奮わなかったというのだ。反省に次ぐ反省、そして後悔の言葉。ここ数日は本当に塞ぎ込んでいたそうで、なんだか心配になる。だけども本当にかっこいいなあと思ったのは、その結果として太田さんがたどり着いたのは、「おもしろくなる!」「おもしろくなるしかないんです!!」という結論だったこと。太田さんは60歳。コンビ結成38年である。そんなレジェンドでも、1ネタ1ネタにこんなに深く深く反省して落ち込む。そしてこれからもっともっとおもしろくなることでしか、この後悔は解決できないのだ熱く誓う。

先の、本の話もそうだけれど、どの道もつらいのだ。成功したって、たくさんたくさん積み上げたって、みんな振り絞るように努力をしながら、落ち込みながら、反省しながら、溺れぬようにもがくように、なんとかかんとか前に進んでいる。どんなに澄ました顔をしていたって、本当はそうなのだ。

2026年のスタートダッシュが上手くいかなかったぐらいで落ち込んでいる場合ではない。これから、いくらだって巻き返せるのだし、今年のわたしにはやるべきことがいっぱいあるじゃないか。やるしかないじゃないか。やっぱりおもしろいものを書くしかない。おもしろくなるしかないんです。

胸に熱いものを感じながら、夕飯は「鶏むね肉とトマトの酒蒸し」を作った。とても簡単でおいしい。今回はルッコラで作ったけれど、次回はクレソンを使って、ここにキノコも入れようと考える。きっとシメジがいいだろう。おいしいものを作るしかないんです。
結局、いつも通りの木曜日だった。

※これはエッセイではなく、あくまで紙に書いているつもりの「日記」です。

無料で「中前結花「スプーンひとさじだけよ」」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら